おばちゃんのふらんす日記

フランスで10年暮らせどステキなマダムになれず..。冴えないおばちゃんがふらんす生活をぼやきます。

教習所の思い出

おばちゃんは数年前、ふらんすで車の免許を取りました。日本でも免許を取ったけど、ビビりなおばちゃん的に事故を起こしたらたらどうしよう!?と怖気づいてペーパードライバー歴10数年。しかし止むにやまれず運転が必要な事態となったため、渋々こちらの教習所に通う事と相成りました。

まずは安い教習所を探して申し込み。筆記(3択試験)をクリアした後にいよいよ実技が始まる訳であります。

 

教習所に通われた方はお分かりと思いますが、実技は何と言っても教官との相性が大事であります。ここで怖い教官に当たると運転そのものがトラウマ化してしまう。だから怖い教官は避けたいなあと思いつつ、始めは色々な教官と乗車しました。見た目まんまの怖いマダム先生や、ややナルシスト的なイケメン先生など色々試しましたが、最終的にローラン先生を一本釣りでご指名する事と相成った訳です。

 

このローラン先生。まず見た目がハンプティダンプティのようにふくよかで、見た目そのままに食いしん坊。

そして圧倒的に魅力的だったのが、受け持つ生徒に全く興味がない事。おばちゃんのようなちっさいアジア人は、時として「ふらんす語もままならいのに免許だなんて可哀想に。力になってあげたい!」と同情してもらいます。それは良いのですが、そういう熱心な先生は却って教習に力が入り過ぎて、おばちゃんは辛くなってしまう事が多々あり...。

でもローラン先生は生徒が何人だろうが若かろうがハゲだろうが「ふーん」って感じで、というかいつでもどこでも「ふーん」という感じなので、プレッシャーを感じずに済んだ訳です。

 

だから教習中もあんまり話す事もなかったのですが、ローラン先生は食いしん坊だから、走行中スーパーの安売り看板を見ては「ほう、今日はりんご安売りかあ..でも昨日買っちゃったか」とか「ここのお肉屋さんの牛肉、ブルギニオンにして美味しかったなあ..」と独り言ともこちらに話しかけるともなく呟く訳です。こちらは微妙なんで、一応「そうっすか..」と返答するのですが。

 

ただ1度だけ、ローラン先生が珍しく感情を全面に出して「おおっ!牡蠣のセールだ。安いねえ。(近かったので)ノエルはやっぱりフォアグラと生牡蠣でしょう♪」と言って来たので、「話を挫くようで恐縮ですが、自分、生牡蠣食べるとアタるので食べれんのです..」と返したところ。

「ええっ!!それは本当に気の毒だねえ」と憐れみの視線と共に同情してくれました。ローラン先生が教習中おばちゃん個人に対しかけてくれた言葉はこの1度きりだったと記憶しています。

 

ちなみに無事免許を取れた時も「先生、受かりました。ありがとうございます!」と言ったら一言「良かったね」とニッコリ。実にあっさりとしたお別れでした。

 

 

ローラン先生のおかげで今も運転出来ています。ありがとうございます。