おばちゃんのふらんす日記

フランスで10年暮らせどステキなマダムになれず..。冴えないおばちゃんがふらんす生活をぼやきます。

「男と女」から50年後

本日空き時間があったので、「les plus belles années d'une vie」という映画を見て来ました。この映画は「un homme et une femme(日本語タイトルは「男と女」)」の50年後(正確には制作時から53年)を描いています。

そもそもこの「男と女」は例の「ダバダバダ~ダバダバダ〜」が余りに有名な恋愛映画で、ふらんす国内外で大ヒットを収めました。オトナでシック、そしてスタイリッシュな映像•音楽は正に「theおふらんす映画」の王道であります。実際この映画が作られた60年代後半は、ふらんす映画のまばゆい「ヌーベルバーグ」時代。ゴダールやトリュフォー、ルイ•マルといった才能の大爆発期にクロード•ルルーシュ監督もその才能を花開かせたのであります。

で、ネタバレしない範囲でこの映画を語ると。まず「男と女」では男(ジャン=ルイ•トランティニヤン)と女(アヌーク•エメ)の圧倒的な美しさに度肝を抜かれましたが...男も女も平等に年を取り後期高齢者ともなると、ヨボタラするもんなんだなとなんだかほっとするやら寂しいやら。

だって「男と女」の2人はあまりの美しさに同じ人間とは思えなかった訳で。そんな2人の後期高齢者っぷりに「そうか、あんなに美しくても同じ人間だったのか」と勝手に親近感を覚える訳です。特に「男」のよぼたらっぷりは想像以上でして、老人ホームで軽~く認知症も入ったおじいちゃんを非常にリアルに演じていました。

逆に「女」はさすがの美しさで、こちらは年を取ってもエレガントで華があります。ただ「男と女」時代の「オトナ•かつ儚い美しさ」なイメージと違い、人生色々生き抜いてきたんだなという貫禄が見えるしっかりマダムになっていました。カトリーヌ•ドヌーブみたいな感じですかね。

しかも「男と女」時に小さかったそれぞれの子供も、50年経ったら当たり前ながら中年になってる訳で。あの海辺でヨチヨチ歩いてた彼らが中年になって、老いた親を看る立場になってるのか..と感慨深いです。

50年前の映像と現在の映像をシンクロさせながら、過去と現在•未来を感じさせるこの作品。見終わって温かい気持ちになる、優しい映画でした。そして「やっぱり映画にとって音楽って大事なんだなー」と感じました。フランシス•レイの音楽が「男と女」という作品を完成させたと言って良いのでは?と思った位です。

 

ただ...隣に座っていた(ふらんす人)のオバチャンが、事あるごとに「ギャーハッハ」と大声で笑うので、やや興醒めの映画鑑賞となったのがちと残念でありましたが。